宮本税理士事務所

令和6年1月1日以降の生前贈与について、税制改正の影響にご注意ください。(暦年贈与・相続時精算課税制度)

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令和6年1月1日以降の生前贈与について、税制改正の影響にご注意ください。(暦年贈与・相続時精算課税制度)

令和6年1月1日以降の生前贈与について、税制改正の影響にご注意ください。(暦年贈与・相続時精算課税制度)

2023/10/15

 以前にもご紹介させて頂きましたが、令和6年が近づいてきたこともありますので再度、生前贈与制度についての税制改正の内容について、記載させて頂こうかと思います。今回の改正の内容については、以前の記事や国税庁より発表されております「税制改正のあらまし」を見て頂ければ、ご理解頂けるのではないかと思っております。

 概要だけ記載させて頂きますと、贈与には「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の二つの課税方式があり、税制改正によりいずれの制度も見直しが行われました。

 「暦年課税制度」は相続や遺言で財産を取得した人が相続開始前3年以内に贈与により財産を取得した場合には、相続開始前3年以内の生前贈与財産が相続財産に足し戻されます。今回はこの相続開始前3年以内が相続開始前7年以内に延長されました。

 「相続時精算課税制度」とは、一定の要件を満たす直系(親子又は祖父母の関係)血族間での贈与に限定されるのですが、税務署に届出書を提出し申告することで、この制度を選択したことになります。一旦この制度を採用すると、上記の「暦年課税制度」に戻ることはできません。また、この制度を採用すると過去何年前の贈与であっても、この制度を選択して以降の生前贈与財産は全て相続財産に足し戻すため、必ず相続税申告書に生前贈与財産の計上が必要となります。しかし、税制改正により基礎控除を新たに創設し、年間110万円までの生前贈与財産は、相続税申告書に記載しなくて済むようになりました。

今後の対応

 

 暦年贈与の生前贈与加算の加算対象の年数が相続開始前3年以内から7年以内に延長されたこと及び相続時精算課税制度に新たに控除額110万円が設けられたことを受け、今後の生前贈与の対応については次のような対応が考えられます。

① 相続人以外へ贈与を行う(暦年贈与)

 「暦年課税制度の相続開始前3年以内の贈与財産(改正後:7年)については相続財産に加算する」という規定になっておりますが、一つ前提がございます。

 この相続財産に加算する規定は、「相続や遺言で財産を取得した人」へ贈与した場合には、その贈与財産は相続財産に足し戻すことになります。そもそも相続で財産を取得しない人(相続権がない人)への贈与については、贈与で完結することになります。言い換えると、相続税の申告を提出する必要がある人への贈与の場合が加算の対象となります。しかし、相続権が無かったとしても、遺言で財産を承継する場合や死亡保険金の受取人となっている場合には、相続税の申告が必要となり加算の対象となります。

 上記で見て頂いたように相続権が無いお孫様やお子様の配偶者への贈与等については、贈与を行ったとして相続時に贈与財産を加算する必要がありませんので、改正の影響を受けずに贈与することが可能です。ご注意頂きたいのは、贈与を行う場合には贈与と分かるように贈与契約書を作成して頂き、贈与の記録を残しておいて頂くことも必要です。場合によっては、名義預金と認定を受けてしまうこともあります。過去に名義預金と生前贈与についての記事を記載しておりますので、ご参照頂ければ幸いです。

2.相続時精算課税制度の活用

 暦年課税制度の改正を受け、相続時精算課税制度について、新たな控除枠が設けられました。これまでは一生涯で2,500万円の特別控除額がありましたが、2,500万円の控除額に加えて新たに年間110万円の基礎控除枠が設けられました。従来は、この制度を選択すると贈与により財産を取得すると、必ず贈与税の申告が必要でした。税制改正後は、年間110万円の控除枠の範囲内であれば、贈与税の申告が不要となります。つまり、贈与額から年間110万円までを控除した残額が相続税の申告の際に加算対象となり、110万円の枠内であれば、相続税の対象とはならないことになります。

 改正前の内容は、必ず贈与財産が相続時に加算されるため、一定の使用方法に限定されておりましたが、今後は直系血族間での贈与について、相続時精算課税制度が活用されるケースも増加すると思われます。

3.まとめ

 生前贈与については、うまく活用すれば相続税額の負担を減らすことも可能です。これまでの暦年課税制度については、基礎控除だけ知っていて具体的な贈与の方法についてはあまり意識せずに資金異動を行っているケースが多いと思います。相続時精算課税制度については、一回選択すると暦年課税制度に戻れない制度ですので、慎重に判断して頂きますようお願い申し上げます。ご自身の財産状況を確認し、生前贈与で部分的に先に渡していくのがいいのか、又はそもそも相続税が課税される財産規模ではないので、相続で全て承継すればいいのか、ご家庭によって判断は様々かと思います。生前贈与をされたとしても、意味が無かったということがないように、ご検討頂ければ幸いです。

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