準確定申告とは?対象になる人ならない人の判断や手続きの基本を解説
2026/07/30
相続人として対応の求められる税務手続きの代表例は相続税申告です。こちらは多くの方がその存在について認識していると思います。
しかし必要な対応はそれだけではありません。状況により「準確定申告」と呼ばれる手続きが必要になることもあるのです。
何を申告するのか、申告義務が生じる要件は何か、など手続きの基本的なルールを押さえておくと安心です。
準確定申告とは
準確定申告とは、「亡くなった方(被相続人)の代わりに相続人が行う、故人のための確定申告」です。
所得税についての通常の確定申告であれば、その年の1月1日から12月31日までの所得をまとめて、翌年の2〜3月に本人が申告します。ところが年の途中で亡くなった場合、「その年の1月1日から死亡日まで」の所得について、本人に代わって相続人が申告と納税を行わなければなりません。これが準確定申告です。
相続税申告との違い
相続税は「亡くなった方が持っていた財産(不動産・預金など)を誰が引き継ぐか」に着目して課される税金です。
一方の準確定申告は、それとはまったく別の手続きで、「亡くなった方がその年に得ていた所得(事業収入・不動産収入・給与など)に対して、所得税の申告・納税が必要かどうか」を処理するものです。
つまり、遺産の内容など引き継ぐ財産の大きさなどは関係ありません。遺産相続をしているからといって自動的に課されるわけでもないです。
準確定申告が必要な人・不要な人
準確定申告はすべての相続人に必要なわけではありません。
義務の有無を判断するポイントは「故人が生前に確定申告が必要だった人かどうか」ですので、ここに着目しましょう。
たとえば、被相続人が1つの会社に勤めている年収2,000万円以下の会社員であれば、年末調整によって所得税が精算されているため、原則申告は不要です。同様に、年間400万円以下の公的年金のみを受け取っていた方も、原則として申告は不要とされています。
他方、以下のいずれかに該当するなら準確定申告が必要になります。
- 給与や公的年金以外に20万円を超える所得(不動産収入、副業収入、生命保険の満期保険金の一時所得など)があった
- 2ヶ所以上から給与を受け取っており、年末調整されなかった給与とほかの所得の合計が20万円を超えていた
- 給与収入が2,000万円を超えていた
- 個人事業主やフリーランスとしての事業所得があった
- 不動産の賃貸収入があった
- 土地・建物を売却していた
源泉徴収のない口座(一般口座)で株式を売却していた
「うちの親は年金生活者だったから大丈夫だろう」などと決めつけず、副業収入や不動産収入の有無まで細かくチェックしておくことが大切です。
義務がなくても申告がお得なケース
申告義務とは別に、申告を行うことで所得税が還付される場合があります。つまり、法的な義務はなくても行うことが有利となるケースがあるのです。
たとえば以下のようなケースです。
- 亡くなる前に年末調整が完了しておらず(年の途中退職など)、源泉徴収税が払いすぎになっていた
- 死亡日までに高額の医療費がかかっており、医療費控除の対象になっている
- 公的年金受給者で、扶養親族等申告書を提出していなかったため税額が多く徴収されていた
なお、還付金も相続税の課税対象となるため、申告期限に間に合うよう早めに手続きするのが望ましいです。
申告期限は「4ヶ月以内」
準確定申告で特に留意しておきたいのが「期限の短さ」です。
通常の確定申告の期限は翌年3月15日ですが、準確定申告の期限は「相続開始を知った翌日~4ヶ月以内」と定められています。
相続税の申告期限(10ヶ月)よりもさらに早い点にご注意ください。
なお、故人が前年分の確定申告をしないまま年を明けて亡くなると、前年分と当年分の2年分の準確定申告が必要になる場合があります。その場合、前年分・当年分ともに4ヶ月以内が期限であることに注意しなくてはなりません。
誰がどうやって申告するか
準確定申告は相続人(および包括受遺者)が行います。
相続人が複数いる場合は全員が連署した申告書を1枚提出しますが、ほかの相続人の氏名を付記すれば各人が別々に提出することも可能です。ただしその場合、申告内容をほかの相続人へ通知しなくてはなりません。
また申告書の提出先は、故人の死亡当時の住所地を管轄する税務署です。「準確定申告書の付表」を添付し、相続人全員の氏名・住所・続柄などを記入しましょう。
なお還付金が発生する場合で相続人の代表者等が受領を委任される際には、別途委任状の提出が必要になります。
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