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【尼崎市】上場株式等の譲渡の申告について、ご自身で取得費を計算する場合

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上場株式等の譲渡の申告について、ご自身で取得費を計算する場合

上場株式等の譲渡の申告について、ご自身で取得費を計算する場合

2023/02/23

 上場株式等の譲渡については、確定申告をしなくても大丈夫と思われている方も多いと思いますが、確定申告をしなければならない場合もあります。今回は、上場株式等の譲渡があった場合についてご自身で株式等の譲渡所得を計算する場合を記載したいと思います。

上場株式等の譲渡の概要

 

 株式の譲渡については、通常は金融機関等を通して売買をされることが多いと思います。取引を始める際に、証券口座を開設しますが、その際に①一般口座、②特定口座(源泉徴収なし)、③特定口座(源泉徴収あり)、④NISA口座の4種類のうちのどれかで開設されていると思います。この4種類の口座の中で、確定申告が必要な口座は①、②の口座です。これらの口座の場合には、金融機関等で所得税の計算が自動的にされておりませんので、ご自身で株式の譲渡所得の計算をしなければなりません。

 譲渡所得の金額は次の算式で計算します。

<算式>

売却金額 - (株式の取得費 + 委託手数料等) = 譲渡所得

 上場株式等の譲渡所得は、15.315%の所得税及び復興特別所得税と5%の住民税が課税されます。

 売却金額と株式の取得費等が把握できる場合には、計算するのは難しくないと思いますが、購入時の金額が分からない場合には、いくらで購入したのかを調べる必要があります。

 お亡くなりになられた方が株式等を保有しており、相続で引き継いだ場合などで、購入時の金額が分からない場合もありますので、購入時期と購入単価を調べる必要があります。相続で財産を引継ぐ際に、換価分割を選択された相続人の方については特に注意が必要です。

株式の購入単価の計算方法について

 

 上場株式等の取得費については、購入が1回限りの場合は問題ないですが、同じ銘柄の株式を複数回売買すると、その購入単価の計算方法が問題となります。

 この場合、「総平均法に準ずる方法」により購入単価を計算することになります。

 この方法は、株式等の種類と銘柄が異なるごとに区分して、種類等の同じものについて次の算式により計算します。

<算式>

(A+B)÷(C+D)=1単位当たりの金額

A=株式等を最初に購入した時(その後既にその株式等を譲渡している場合には、直前の譲渡の時)の購入価額の総額

B=株式等を最初に購入した後(その後既にその株式等を譲渡している場合には、直前の譲渡の後)から今回の譲渡の時までの購入価額の総額

C=Aに係る株式等の総数

D=Bに係る株式等の総数

具体的には、次のように計算することになります。

取引年月日
取引内容
株数
単価
購入代金
売却代金
令和4年10月
購入
5,000株
500円
2,500,000円
令和4年12月
購入
3,000株
600円
1,800,000円
令和5年1月
売却
2,000株
700円
1,400,000円
令和5年2月
購入
4,000株
650円
2,600,000円
令和5年3月
売却
5,000株
800円
4,000,000円

①令和5年1月の売却時の取得費

(2,500,000円+1,800,000円)÷(5,000株+3,000株)= 534円(1円未満の端数は切上)

534円 × 2,000株 = 1,068,000円

②令和5年3月の売却時の取得費

A部分 534円×6,000株(①売却後の株式数)= 3,204,000円

B部分 2,600,000円(前回の売却の後から今回の売却の時までの購入価額)

(3,204,000円 + 2,600,000)÷(6,000株+4,000株)=581円(1円未満の端数は切上)

581円 × 5,000株 = 2,905,000円

その他の留意点

 

 同一銘柄の株式を一般口座と特定口座で取引している場、種類と銘柄が同一のため、両口座分を合算して総平均法に準ずる方法により取得費の計算をする必要があると思われるかもしれません。しかし、特定口座内保管上場株式等は、特定口座ごとに他の口座の所得と区分して、その特定口座に係る株式等に係る譲渡所得の金額を計算する(措法37の11の3①)ため、それぞれの口座ごとに取得価額を計算します。

 株式の譲渡所得等の計算において、収入に計上すべきタイミングは、原則として引渡しの日(受渡日)とし、選択により契約の日(約定日)とすることができます。(措通37の10・37の11共-1)

 しかし、特定口座(源泉徴収口座)の場合には、金融機関等が収入金額及び必要経費等の計算を行うことを前提に特定口座(源泉徴収口座)の制度を選択したものと解されるため、約定日を選択して計算することが出来ず、原則の引渡しの日で計算することになります。

まとめ

 

 株式の譲渡所得の計算をする際には、ポイントは株式の取得費の把握にあります。売却時の資料については、金融機関より入手することが可能ですし、実際に金銭が入金されますので把握することは難しくないです。取得費の計算については、金融機関等も購入時期や購入単価を把握していない場合には、取得費の把握が困難な場合もあると思います。購入時期の参考としては、上場株式であれば各銘柄ごとに株式事務代行をしている信託銀行の証券代行部に株式異動証明書の発行依頼をすることにより、おおよその時期を把握することは可能です。また、過去10年分については金融機関等で顧客勘定元帳の発行依頼をすると、購入時期などを確認することも出来ます。ご自身のメモ書きで購入時期が確認出来れば、それも有効となります。

確定申告書の提出が必要な方は、事前に金融機関等に発行依頼をしておき、確定申告期限までゆとりを持ったスケジュールで確定申告書を作成しましょう。

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