不動産を売却した場合の取得費・譲渡経費に含まれる範囲について
2024/02/23
相続により財産を引継いだ方が、引継いだ財産を売却することがよくあります。特に多いのは不動産や株式だと思います。建物の建築代金や土地そのものの購入金額は当然取得費に含まれます。しかし、不動産の取引には様々の諸経費がかかってきます。しかし、全ての支出が経費として認められるものではありませんので、不動産を売却した場合の経費(取得費・譲渡経費)にはどのようなものが該当するのか、ご紹介したいと思います。
基本的な考え方としては、不動産の売買取引をするにあたって必ず必要となる支出については取得費や譲渡経費に該当します。一方、その支出がなくても不動産の売買取引が可能であるものについては経費として認められない可能性が高くなります。
下記に具体的な内容を記載していきたいと思います。不動産を売却した場合の個人の確定申告の際に、ご準備する資料に悩まれる方もいらっしゃると思いますので、ご参考になれば幸いです。
1.取得費に計上できるもの
- 土地や建物を※購入した際の不動産取得税・登録免許税・印紙税
※購入だけではなく、相続や遺贈で引継いだ際に支払ったものも含みます。
- 借地人を立ち退かせるための、立ち退き費用
- 土地等と建物を同時に購入した直後に、建物を取壊した場合の取壊し費用は、土地等の取得費
- 土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用
- 土地の取得に際して支払った土地の測量費
- 不動産仲介業者へ支払う仲介手数料
- 抵当権設定登記費用(抵当権抹消登記費用は、下記の譲渡経費に該当しません。)
- 建築確認申請費用
- 地鎮祭費用
- 未経過分の固定資産税精算金
- 紛争を解決しなければ不動産を取得できない場合に生じる訴訟費用
(注)上記の項目のうち、事業所得や不動産所得の計算の際に、経費として計上したものは不動産の売却の際の取得費に計上することは出来ないのでご留意ください。
2.譲渡経費に計上できるもの
- 不動産仲介業者へ支払う仲介手数料
- 土地の譲渡に際して支払った土地の測量費
- 借地権の名義書換料
- 借家人等を立ち退かせるための、立ち退き費用
- 印紙税で売主が負担したもの
- 建物取壊し費用及びその建物の損失額
3.まとめ
上記は、基本的に該当するものを記載させて頂きました。費用の中には、該当するケースと該当しないケースと両方出てくるような判断が難しいものの出て参ります。
例えば、残置物撤去費用や家屋のクリーニング費用も維持管理のための費用として判断されるケースだと譲渡経費に該当しません。買主側から要求され、それが行われなければ売買契約が締結されない状況においては、譲渡経費として認められるかと思います。
仮に、それが実行されず現状のまま売買されたとしても、処分費用相当額が売却代金から減額された金額で無ければその不動産は購入しないと考えられます。
交通費についても基本的には認められると思っておりますが、不動の売買契約を締結するために必要な交通費と税務署へ説明が出来るように、きちんと管理しておく必要があります。場合によっては認められない可能性もあります。
前提として、それぞれの支払金額が分かることが必要であるため、不動産取引の際に支払った費用関連の契約書・請求書・領収書等は必ず保管して頂きますようお願います。
よく、購入時の資料が無いというお話をお伺いしますが、その場合には余分なコストが発生する可能性が高いため、ご注意ください。万が一、不動産購入時の資料が無い場合で推定で取得費を計算することが可能な場合もありますので、一度税理士等にご相談頂くことをお勧め致します。
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宮本税理士事務所
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