相続税における障害者控除の適用条件や計算方法について
2025/06/06
相続税法で設けられている「障害者控除」は、障害を持つ相続人に対する税負担を軽減するための制度です。この控除制度の適用条件や控除額についてわかりやすく解説していますので、障害を持つ方やそのご家族の方は当記事をぜひご一読ください。
障害者控除の概要
障害者控除とは、相続人が障害者であり85歳未満であるときに、相続税の額から一定金額を差し引くことができる制度です。
この制度は、介護費用や医療費など生活のための支出が多くなりやすい障害者について、被相続人の死後も経済的に困窮することのないよう支援する目的で設けられています。
基礎控除との違い
障害者控除は「税額控除」の一種であるため、課税対象となる財産額からではなく算出された相続税額から直接控除を行うのが特徴です。同じ税額控除には未成年者控除や外国税額控除、贈与税額控除などがあります。
一方、相続税の申告や納付義務に大きな影響を与える「基礎控除」は税額控除ではなく、課税対象となる財産の総額に対し適用します。そのため基礎控除では3,000万円以上と大きな金額を差し引くことができますが、税額を3,000万円控除できるわけではありません。
なお、基礎控除は誰でも適用可能で、障害者控除の併用も可能です。
障害者控除を適用するための条件
障害者控除の適用を受けるには、次の4つの条件をすべて満たさなくてはなりません。
| 障害者控除の適用条件 | |
| 法定相続人である |
・民法で定められた相続人(亡くなった方の配偶者、子、親、兄弟姉妹など)であること ・相続放棄があった場合でも、放棄がなかったものとして扱うことが可能 ・被相続人の親族が遺贈などで遺産を受け取ったとしても、法定相続人でなければ障害者控除の適用は受けられない |
| 相続または遺贈で財産を取得している |
・相続人として被相続人の遺産を受け取った、または遺言書の記載に従い遺産を受け取った、のいずれかの事実が必要 ・死亡保険金などのみなし相続財産、相続時精算課税を受けて相続税の課税を受ける贈与財産を受けている場合も同様 |
| 相続開始時に障害者である |
・相続開始時点において「一般障害者」または「特別障害者」に該当すること ・特別障害者には「身体障害者手帳1・2級を持つ方」や「精神障害者保健福祉手帳1級を持つ方」、「重度の知的障害者と判定された方」などが該当し、ここに該当しない方が一般障害者となる |
| 日本国内に住所がある |
・相続開始時において日本国内に住所があること ・国内に住所があっても、その期間が短い在留資格を持つ外国人であって、被相続人が日本になかったり外国人であったりするなど一定の状況に該当するときは要件を満たさない |
障害者控除で減らせる税金の大きさ
障害者控除の額は、①障害の程度(一般障害者か特別障害者か)と②相続開始時の年齢により決まります。
《 一般障害者の場合 》
控除額 = 85歳までの年数×10万円
※1年未満の期間は切り上げる。
相続開始時に60歳と半年の方であれば85歳まで24年と半年ですので、切り上げて「85歳までの年数」は25年として計算ができます。結果、障害者控除の額は250万円となります。
《 特別障害者の場合 》
控除額 = 85歳までの年数×20万円
※1年未満の期間は切り上げる。
特別障害者の場合も計算方法はほとんど同じで、単純に一般障害者における控除額の2倍となります。1年未満の期間を切り上げるのも同じですので、相続開始時に60歳と半年の方であれば、500万円(=25×20万円)となります。
障害のある方の親族にも適用可能
常にではありませんが、障害者控除の適用を受けられる本人のほか、「扶養義務者」に該当する方の相続税額を障害者控除により軽減できるケースがあります。
本人以外に適用できるのは、「算出された控除額のすべてを障害者本人から引き切ることができなかったケース」です。そして適用を受けようとする方は、本人との関係性が以下のいずれかに該当しなくてはなりません。
- 配偶者(内縁の夫や妻は含まない)
- 直系血族(親や子、孫など)
- 兄弟姉妹
- 生計を一にする三親等内の親族(甥や姪などを含む)
- 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
障害者本人の算出税額が200万円の場合において、障害者控除の額が250万円と計算されたとき、税額控除ができるのは200万円までです。残りの50万円について、上記扶養義務者の算出税額から差し引くことができるのです。
なお、満額を控除できず適用可能な扶養義務者がいない場合でも、残額分を還付のような形で受け取ることはできません。
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