相次相続とは?使える税額控除のルール、計算例を紹介
2025/05/05
一定以上の資産がある場合、相続で子どもなどへ承継されるたびに相続税が課税されます。そのため短期間で連続して相続が発生すると、相続税の負担が重くのしかかることがあります。
しかしその負担が過度に大きくなるときは、税負担を軽減するための「相次相続控除」が適用できるかもしれません。この税額控除の仕組み、適用条件や控除額の計算方法について当記事で解説しております。
相次相続とは
「相次相続」とは、相続により取得した財産につき、比較的短期間のうちに再び相続の対象となる状況を指します。
たとえば、父が亡くなって子が財産を相続し、その子も間もなく亡くなって孫がその財産を相続するような状況です。この場合、父が亡くなったときの相続を第一次相続、その子が亡くなったときの相続を第二次相続と呼ぶことができます。
相続税課税の観点からは「第一次相続~第二次相続までの期間が10年以内かどうか」が重要になってきます。
数次相続との違い
相次相続と似た言葉に「数次相続」があります。
数次相続は、単に複数回の相続が発生することを指すこともあれば、「第一次相続に関する遺産分割協議など、相続手続きが完了しないうちに相続人が亡くなったときの相続」を指すこともあります。
第一次相続の遺産分割前に第二次相続が開始してしまうと、遺産分割協議に参加すべき当事者が第二次相続の相続人にまで広がってしまい、権利義務関係が複雑になってしまいます。数次相続は、このような問題を意識したときの用語といえるでしょう。
過重な税負担を解消する税額控除の仕組み
課税は、納税義務者間の公平性を維持するよう、同じルールに従い行うのが原則です。
しかし一定の状況下では、原則通りの課税を行うと過度な税負担を課してしまうこともあります。たとえば、贈与税と相続税の二重課税が起こるケースもありますのでその場合には贈与税額控除を適用。外国ですでに相続税相当の課税を受けているときの二重課税に対しては外国税額控除の適用も認められます。
相次相続控除もこうした制度の一種です。短期間に連続して相続が発生すると同じ財産に対して実質的に二度課税されることになるため、一定範囲内での税額控除を認めています。
相次相続控除のルール
第一次相続の開始から第二次相続が開始されるまでの期間が10年以内と、比較的短期間で相続が連続したとき適用の可能性のある税額控除が「相次相続控除」です。
第一次相続で納めた相続税額の範囲で、一定の算式により算出される金額を控除することができます。適用条件と具体的な計算方法を以下に示します。
適用条件
相次相続控除が適用できるのは次のいずれの要件も満たしている場合です。
- 第二次相続における被相続人から、相続や遺贈により遺産を取得した相続人
- 第二次相続における被相続人が、前10年以内に開始した第一次相続により遺産を取得していた
なお、相続税の納付税額を計算する過程では相次相続控除のほかに調整項目がいくつかあります。適用順序も次のように定められていますので、特に「2割加算(亡くなった方との血縁関係が遠くなるときは相続税額の負担を2割増しにする仕組み)」と「贈与税額控除(相続税が課税された贈与財産について二重課税を防ぐために納付税額分を控除する仕組み)」の適用を受けることができる場合には要注意です。
これらより先に相次相続控除を適用してしまうと、納付税額が本来の金額より小さくなってしまう可能性、あるいは還付金額が本来より大きくなってしまう可能性が出てきます。
《 算出した相続税額に対する税額控除等の適用順序 》
- 2割加算
- 贈与税額控除
- 配偶者控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 相次相続控除
- 外国税額控除
贈与税額控除や未成年者控除などの税額控除によって納付税額が0円になった場合は、相次相続控除を適用する必要はなくなります。贈与税額控除と異なり相次相続控除額相当の還付を受けることもできません。
控除額の計算方法
相次相続控除の大きさは、第一次相続から第二次相続までの期間に応じて大きく変動します。この期間等に対応して算出される相次相続控除の「総額」をまずは調べ、その後遺産の取得割合に応じて各人の控除額を算出する流れとなります。
たとえば第一次相続で600万円の相続税がかかっていた場合で、第二次相続までの期間が5年だとすれば、単純計算で[600万円×5/10=300万円]が控除額の総額となります。そして被相続人の子2人が均等に遺産相続しているのであれば[300万円×1/2=150万円]が各自の控除額となります。
ただし、正確な控除額を調べるにはほかにも考慮しないといけない要素があります。それらを踏まえた計算式がこちらです。
①相次相続控除の総額 = A×C/(B-A)×(10-E)/10
※C/(B-A)の値が1より大きくなる場合は、C/(B-A)に1を代入する。
②各相続人の控除額 = ①×D/C
| 変数 | 概要 |
| A | 第一次相続で発生した相続税額。 ※過少申告による加算税、納付が遅れたことによる延滞税などが発生している場合でも、それら附帯税額は含めない。 |
| B |
第一次相続で取得した財産の価額。 ※「純資産価額」を採用するため、借入金などがあるときは債務控除後の値とする。また、生前贈与加算(相続開始前一定期間の贈与財産を相続財産に加算する仕組み)については考慮しないが、みなし相続財産(死亡保険金のような、課税上は相続財産とみなす財産)の価額は含める。 |
| C |
第二次相続で相続人等が取得した財産の総額 ※相続人や受遺者など全員が取得した「純資産価額」の合計額。相次相続控除の適用を受けられない、相続人以外の受遺者の取得分も合計する必要がある。 |
| D |
第二次相続で相続人が取得した財産の価額 ※相次相続控除の適用を受けることができる方各自が相続や遺贈で取得した「純資産価額」。 |
| E |
第一次相続~第二次相続までの年数 ※1年未満は切り捨てとなるため、半年しか期間が空かなかったときのEは「0」となり、9年と11ヶ月が経過しているときのEは「9」となる。 |
つまり控除額は、前回納めた相続税額「A」が基準となり、これに10年の経過で0円まで逓減するよう「(10-E)/10」を乗じます。
また、第一次相続において承継した財産を被相続人が大きく食いつぶしている場合、その分相次相続控除によって税負担を調整する必要性がなくなりますので「C/(B-A)」を乗じて調整します。
第二次相続の被相続人が遺産を使い込んでいる場合だと「C/(B-A)」の値が1を下回る可能性が高くなり、控除額の総額も小さくなります。
相次相続控除の計算例
前回の相続で500万円(A)の相続税額が発生し、二次相続までに財産を大きく減らすことなく「C/(B-A)」の値は1になるとします。この場合、控除額の総額は次のように逓減していきます。
| 第二次相続までの期間 | 「(10-E)/10」の値 | 控除額の総額 |
|
1年未満 ※E=0 |
(10-0)/10=10/10 | 500万円×10/10=500万円 |
|
1年以上2年未満 ※E=1 |
(10-1)/10=9/10 | 500万円×9/10=450万円 ※10%逓減 |
|
2年以上3年未満 ※E=2 |
(10-2)/10=8/10 |
500万円×8/10=400万円 ※20%逓減 |
| : | : | : |
|
9年以上10年未満 ※E=9 |
(10-9)/10=1/10 |
500万円×1/10=50万円 ※90%逓減 |
| 10年以上 | - | 適用なし |
このように、1年経過するごとに控除額の総額が10%少なくなっていきます。
また、第一次相続で取得した財産の価額(B)が4,000万円、第一次相続で発生した相続税額が500万円(A)に対し、第二次相続で相続人等が取得した財産の総額(C)が1,750万円であったとしましょう(遺産を使い込んでいたケース)。
この場合は第一次相続で相続税を課せられた財産が少なくなっており、[C/(B-A)=1,750万円/(4,000万円-500万円)=0.5]となるため、上表と比べて同じ期間(E)でも半分の税額控除しか適用できなくなります。
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