【尼崎市】上場株式に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除について、申告していない場合の対応は?

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【尼崎市】上場株式に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除について、申告していない場合は?

上場株式に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除について、申告していない場合は?

2023/01/31

制度の概要

 

 上場株式等を金融商品取引業者等を通じて譲渡したこと等により生じた譲渡損失(以下「上場株式等に係る譲渡損失」といいます。)の金額がある場合は、確定申告により、その年分の上場株式等の配当等に係る利子所得の金額および配当所得の金額(上場株式等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限ります。以下「上場株式等に係る配当所得等の金額」といいます。)と損益通算ができます。

また、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)を添付した確定申告書を提出することにより、上場株式等に係る譲渡所得等の金額および上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます(注)。

(注)上場株式等に係る譲渡損失の金額については、※一般株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することはできません。令和3年分以前の各年分において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額で令和4年分に繰り越されたものについては、令和4年分における上場株式等に係る譲渡所得等の金額および上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することはできますが、一般株式等に係る譲渡所得等の金額から繰越控除することはできません。

(国税庁ホームページ参照)

※一般株式等とは、上場株式等以外の株式等をいいます。

1.適用の際の留意点

 この規定は、前提として金融商品取引業者等を通じて行う必要があり、繰越が可能な損失については租税特別措置法で規定されている一定の譲渡である必要があります。そのため、相対取引(金融商品取引業者等を介さない取引)で生じた譲渡損失や国外において外国の証券会社を介して行う譲渡などは、一定の譲渡に該当せず、この制度を適用することはできません。(措法37の12の2②)

2.確定申告を失念した場合

 この上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の制度は、確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)を添付した確定申告書の提出が必要です。損失の金額が出ても、損失の金額を記載した確定申告書を提出していない場合や、確定申告書は提出しているが、譲渡損失の金額の記載を失念してしまうことも考えられます。

 しかし、そこで諦めてしますのはまだ早いです。

 この制度は、確定申告書の提出は求められておりますが、場合によっては確定申告書の提出を失念していても適用が可能な場合もあります。そこでケース別に整理していきたいと思います。

① 確定申告書を提出していない場合(源泉徴収なしの特定口座や一般口座)

 確定申告書の提出は求められていますが、期限内申告書に限定はされておりません。つまり、損失の金額を記載した確定申告書の提出さえあれば要件を満たすため、申告期限後に申告書(期限後申告書といいます。)を提出することにより、この制度の適用が可能となります。この場合には、前年分の期限後申告書を提出し、本年分の確定申告をする必要があります。(過去分から申告)
 

② 確定申告書は提出しているが、確定申告書付表の添付をしていない場合

 この場合、確定申告書付表の添付を失念しているため、この制度の要件は満たしていない状態です。後日、申告し忘れた繰越損失を計上する旨の「更生の請求」を行うことになるが、これが認められるかどうかが争点となります。

 更生の請求は、「課税標準額等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあった場合」に修正が認められます。結論から申し上げますと、上記に該当せず、この制度を適用することはできません。

 確定申告書付表の添付の失念しても、当初の申告自体が誤りではない以上、更生の請求を認める理由がないためです。

③ 確定申告書付表の添付をした確定申告書を提出したが、譲渡損失の金額の誤りに気づいた場合

この場合には、当初の確定申告において要件を満たした状態ですので、この制度は問題なく適用することが可能です。しかし、譲渡損失の金額が過少であったため、その譲渡損失の金額を正しい金額に修正するため、「更生の請求」を提出するがこれが認められるかどうかが問題となります。

 この「更生の請求」は、申告書に記載した純損失等の金額が過少であるときも認められ、この純損失等には上場株式等に係る譲渡損失の金額が含まれます。よって、修正後の譲渡損失の金額でこの規定の適用が可能となります

 

 注意が必要なのは、特定口座(源泉徴収あり)内の所得です。特定口座(源泉徴収あり)内の所得又は損失を申告するかどうかは、特定口座(源泉徴収あり)ごとに選択することができます。よって当初申告において申告していない場合は、申告不要を選択したことになりますので「更生の請求」においてその所得又は損失の金額を譲渡所得等の金額の計算上算入することは認められないです。

まとめ

  

 これまでに述べたように、確定申告書を失念してしまうと、譲渡損失の金額を繰越ことができない場合もあります。また、申告することによって所得金額にも影響を及ぼします。配偶者控除や不要控除などの判定基準である合計所得金額については、この繰越控除の適用前の金額で判定されますので、申告することによるデメリット部分も把握された上で、ご判断頂ければ幸いです。

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