相続人に意思能力がない方(認知症)がいらっしゃる場合は遺言書を活用しましょう。
2023/01/15
相続人の意思能力がポイント
通常の相続のお手続きの中では、相続人全員の話し合いによって被相続人の財産を分割していくことになります。この話し合いのことを遺産分割協議といいます。そして相続人全員で合意した内容を書面にしたものが遺産分割協議書と呼ばれております。
相続税の計算は、家族構成や相続人の状況によって左右されるのですが、さらに遺産の分割内容によっては最終的に支払う相続税額が少なくなる場合もありますので、遺産分割協議は重要な事項となります。
民法では遺産を承継する相続人に誰が該当するのか、相続人が取得する遺産の相続割合が定められていい、これを法定相続分といいます。
しかし、必ずしもこの割合で遺産を承継するのではなく、遺産分割協議によって自由に分割内容を決めることができます。遺産を全額一人で承継し、他の相続人は一切遺産を承継しない遺産分割も問題ございません。
遺産分割協議により自由に取得する遺産を決めるためには、相続人全員の合意が必要となります。しかし相続人の中に意思能力が無い方がいらっしゃるとその遺産分割協議は無効となる可能性が高いです。このように認知症などにより意思能力がない方が相続人にいる場合には、成年後見人を選任し、成年後見人が相続人に代わって遺産分割協議に参加することになります。このような方を特別代理人といいます。この特別代理人が必要となる場合は、未成年である子と親権者である親の両方が相続人に該当する場合なども該当します。
相続時のデメリット
成年後見人が遺産分割協議に加わることにより、通常の場合の遺産分割協議と違いどのようなデメリットがあるのか代表的なものを列挙します。
- 遺産分割協議の際に、自由に遺産を承継出来ず、法定相続分で遺産を承継することになる。
- 成年後見人の選任に時間がかかり、相続税の申告期限に間に合わなくなる。
- 成年後見人を専門家に依頼すると費用が発生する。
1.については、特別代理人は意思能力がない方に不利益が生じないようという前提で遺産分割協議に参加しておりますので、特別な理由がない場合には意思能力がない方の法定相続分を確保することが求められます。そのため、本来出来たであろう遺産分割協議が実現できず、相続税を多く負担してしまうケースがあります。
この他にも、成年後見人は家庭裁判所に申立を行う必要があり、目安ではありますが家庭裁判所において審理が行われる期間が1、2カ月はかかるものです。よって相続税の申告期限を意識して早めに資料収集に取り掛かる必要があります。
成年後見人になれるのは、遺産分割協議に参加しない親族などでも問題はなく、特に資格は求められておりませんが法律の専門家が選任される場合が多いです。その場合には当然報酬が発生します。当初は遺産分割協議が出来ないために、成年後見人を選任したとしても、通常はその後も継続していくことになります。
遺産分割が終わったからといって、途中で辞めることは基本的にできません。こうした場合には、意思能力がない方がお亡くなりになられるまで費用が発生することになります。
対応方法
相続人に意思能力がない方がいると、通常の場合よりも不都合な点が多く生じて参ります。原因は遺産分割協議を行う必要があるためです。遺産分割協議は法律行為であるため、意思能力がない者が行った法律行為は無効になります。
これらを回避しようとすると、遺産分割協議ではなく、事前に遺言書を作成しておくことで遺産分割協議をする必要がなくなります。
遺言書の作成は自筆証書遺言や公正証書遺言などがありますが、後々失敗しないようにするためには公正証書遺言の作成が一番かと個人的には思っております。相続税の対策をお考えの方は、まだ早いと思っていても何が起こるかは分かりませんので一度相続対策をご検討されてはいかがでしょうか。
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