【尼崎市】マイホームを売却した場合の3,000万円控除について

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マイホームを売却した場合の3,000万円控除について

マイホームを売却した場合の3,000万円控除について

2023/02/02

居住用不動産の特例制度について

 不動産のうち、特に居住用不動産については、様々な優遇措置が設けられております。住宅を購入する場合には住宅ローン控除や、住宅を売却・買い替えする場合にも売却した際の税金を軽減するための優遇措置がございます。今回はその中でも不動産を売却した際の特例のうち、最も活用されるケースが多い制度である居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除をご紹介させて頂きます。(所得税・住民税)

ご参考に、住宅に関連する所得税の優遇措置を列挙させて頂きます。

 

<参考>

  1. 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除措法35①)→今回ご紹介の規定
  2. 被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(措法35③)
  3. 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3①)
  4. 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
  5. 特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)
  6. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41の5)
  7. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41の5の2)

1.不動産売却時の税金

 

 まずは、不動産を売却した場合にはどのようにして所得税が課税されるか記載させて頂きます。

所得税は名前の通り所得に対して課税する税金ですので、所得が生じない場合には課税されることはありません。ここでいう所得とは、収入から費用を差し引いた金額をいいます。具体的には次のように計算します。

<算式①>

 不動産売却代金 - (不動産購入代金 + 譲渡経費 ) = 所得金額

売却代金を把握するためには、基本的には不動産売買契約書など売却金額が確認出来る書類が必要となります。売却時に仲介を依頼される場合には、売却する際の売買契約書等と売却に関連する諸経費の資料をセットにして不動産業者より資料がご返却されると思いますので、売却金額と譲渡経費は確認できると思います。

問題となるのは、購入時です。

 相続で先祖代々引き継いできた土地などは、購入時の金額が分からないことが多いと思います。

相続時に相続税が課税されているので、相続時の金額を購入時の金額として使えると思われている方もいるかもしれませんが、これは誤りでございます。購入時の金額は、実際にお金を払ったときの金額を使用しますので、相続や贈与があった場合には、その購入時の支払金額が相続人や受贈者に引き継がれることになります。

もし、不動産購入時の金額が分からない場合には、税負担が過大となるリスクがあります。

購入時の金額が分からない場合には、次の算式で所得税が計算されます。(いわゆる概算取得費による計算)

<算式②>

 不動産売却代金 - (不動産売却代金 × 5% + 譲渡経費 ) = 所得金額

この算式②の計算でいくと、売却代金の約95%に対して所得税が課税されますので、税負担が多くなる傾向があります。この2つの計算式は、いずれか有利な方で計算が出来ますので、明治や大正時代から引き継がれてきた土地であれば、実際の支払額よりも売却代金×5%の方が有利なケースもあります。

多くは、購入時の支払金額の方が概算取得費より金額が大きいので、購入時の金額が把握するためには売買契約書など必ず保管しておきますようにしておきましょう

 次に、課税される所得税率ですが、長期所有の場合と短期所有の場合で税率が異なります。

<所得税率>

長期 短期
15%(住民税5%) 30%(住民税9%)

 

この長期、短期の判断については譲渡年の1月1日において所有期間が5年以上かどうかで判断し、5年以上所有している場合には「長期」に該当します。

相続や贈与の場合には、購入時の金額と同様に所有期間も引き継がれますので、ほとんどの場合には「長期」に該当すると思います。

2.3,000万円控除の制度の内容

 

 この制度は、マイホームとして利用している家屋又は家屋と一緒にその敷地を売却することで、所得金額から最大3,000万円が控除される特例です。所得税と住民税を合わせると、長期譲渡所得の場合、最大約600万円の税負担が軽減されます。

短期所有・長期所有のいずれのケースでも適用可能ですが、必ず所得税の確定申告が必要となります。

 また、夫婦で土地・家屋を共有して所有している場合には、夫婦それぞれ最大3,000万円まで控除されますので、合わせて最大6,000万円まで控除が可能となっております。

 しかし、例えば①家屋は夫が所有、②土地は夫婦の共有の場合には、まず夫の譲渡益から3,000万円が控除され、妻は3,000万円から夫が適用を受けた残額のみが適用されますので、最大3,000万円までの控除額となりますので、所有形態によって限度額が変わるので注意が必要です。この場合には、①土地家屋を同時に譲渡していること、②家屋の所有者と土地等の所有者とが親族関係を有し、生計を一にしていること及び③土地等の所有者は家屋の所有者とともにその家屋に居住していること、という要件を全て満たす必要があります。

その他の要件については次の通りです。

(1)居住用財産の譲渡であること

 今住んでいる家屋又はその家屋と敷地

② 次のいずれかに該当し、住まなくなってから3年を経過した年の12月31日までに売却していること。

(イ)災害で滅失した家屋

(ロ)過去に住んでいたが、今は居住していない家屋又はその家屋と敷地

  住まなくなってから空家でも可能ですし、貸付や事業の用に使用していても適用可能です。

(ハ)家屋を取壊した場合のその敷地

  この場合は、取壊し後1年以内に土地売買契約を締結する必要があります。また、その間は貸付や事業の用に使用しないことが条件となります。

また、このほか一時的な利用で住まわれている家屋などは、居住用財産に該当しません。

(2)売却した相手が親族など特別の関係がないこと

 この制度は、第三者への売却を前提としているため親族等へ売却する場合には、この要件を満たさないことになります。

特別な関係とは、具体的には以下のような関係をいいます。

  1. 譲渡者の配偶者及び父母や子などの直系血族
  2. 譲渡者の親族で生計を一にしているもの及び譲渡者の親族で家屋の譲渡がされた後、譲渡者とその家屋に居住する者(1.に該当する者を除く)
  3. 譲渡者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの

(3)他の規定との関係

 自宅を何度も買換えられる方は多くないと思いますが、2、3回買換えをするケースもあるかと思います。

そのため、この3,000万円控除の特例を使用するためには、売却した年の前年と前々年に次の規定を受けていないことが必要となります。

  1. 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(今回説明させて頂いている規定)
  2. 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
  3. 特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)
  4. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41の5)
  5. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41の5の2)

 

これらの規定は基本的に重複適用されない規定です。譲渡損失が出ていれば4.か5.の規定のいずれかの適用を検討しますし、逆に所得が出る場合には3,000万円控除の適用又は買換えの特例等のいずれが有利か検討することになります。

 このほかに注意が必要な規定としては、住宅ローン控除です。

住宅ローン控除も、3,000万円控除と重複して適用することが出来ない規定の一つに該当します。

具体的な要件としては次に掲げる規定が該当します。

居住年およびその前年、前々年の計3年間に次に掲げる譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないこと。

  •  居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3①)
  •  居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(措法35①)

(注)被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法35③)により適用する場合を除きます。

  •  特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
  •  特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)
  •  既存市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の5)

 

 入居した年の翌年から3年目までのいずれかの年中に、住宅ローン控除の対象となる資産以外の資産を譲渡し、居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除の適用を受ける場合にも、住宅ローン控除の適用を受けることはできません。つまり、入居年、入居前2年間及び入居年の翌年から3年間の合計6年間は併用出来ないことになります。

購入する不動産について、住宅ローン控除の適用を考える場合には、3,000万円控除とどちらが有利となるかシミュレーションをした上で適用を検討する必要です。

3.まとめ

 

 住宅に関する税制は、3,000万円控除の規定については税効果が大きい規定と思います。この規定が適用できるかどうかでも、手許に残る資金は大きく異なります。不動産の利用方法は住宅専用で使用する場合が多いと思いますが、店舗や事務所と併用して使用される場合もあります。また、不動産の所有形態についても土地・建物を同じ人が単独で所有する場合は、それぞれ共有で所有する場合、土地の所有者と家屋の所有者が違う場合など様々なケースがあると思います。

状況によっては、要件の判定が難しい場合もありますので、要件の判定が難しい場合には、事前にご相談の上で売却を検討してみてください。

 最後に、確定申告書の提出が求められておりますので、適用の結果、税額が0円の場合にも確定申告書の提出だけは忘れずに行って下さい

 確定申告書の記載の方法や添付資料でご不明な点等があれば、専門家に相談されるか税務署までご相談に行かれるのが宜しいかと思います。

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尼崎市で確定申告負担を大幅軽減

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