相談の実例をご紹介
CASE
初めて税理士事務所を利用される方も多く、不安な気持ちを抱える方も少なくありません。お客様が安心・信頼してご相談できるよう、これまでご相談いただいた事例をご紹介いたします。守秘義務があり、相談内容や個人情報はしっかりと守りますので、ご安心ください。明朗で適正な費用と、お客様に寄り添ったサポートができる税理士事務所として活動しています。
名義預金とは何ですか?
名義預金とは、被相続人が子や孫名義の預金口座の中に、被相続人が資金を出している場合には名義預金と認定される可能性があります。
名義預金に該当すれば、本人名義ではなく親族名義の預金であっても相続税の申告の対象となります。名義預金に該当するかどうかは、生前贈与が成立しているかどうかにより判断されますので、①贈与者と受贈者双方の贈与の認識の有無の確認、②受贈財産の管理状況、③贈与契約書の有無、④銀行印などを総合的に判断することになります。
当事務所では、預金通帳の内容を最低5年以上確認させて頂いており、名義預金か生前贈与かの判断をさせて頂きます。
小規模宅地等の特例の適用とは何ですか?(居住用のケース)
小規模宅地等の特例とは、亡くなられた方(被相続人)がご自宅として使用されている土地を一定の要件を満たす親族が取得すると、対象地の面積のうち330㎡まで土地の評価額が80%減額される特例です。
被相続人の自宅の敷地を配偶者が取得すれば取得者の要件はありませんが、同居親族が取得する場合には申告期限まで①居住し、かつ②保有する必要があるため申告期限までに売却すると特例の適用を受けることが出来ないので注意が必要です。
別居親族が取得する場合にはいくつか要件がありますが、配偶者及び同居の法定相続人がいないことが要件となっておりますので、例えば法定相続人ではない孫が被相続人と同居している場合には適用の余地があります。適用を受けるためには、生前に要件を充足しておく必要がありますので、事前に専門家にご相談されることをお勧めします。
二次相続を考慮した遺産分割の提案とは?
ご両親のうち、最初に発生する相続を一次相続といい、次に発生する相続を二次相続といいます。配偶者には、取得する財産額が①法定相続分相当額と②1億6千万円のいずれか大きい金額までは相続税がかからない特例があります。そのため配偶者が財産を取得すると、一次相続の相続税の負担は大きく軽減することが出来ます。
しかし、一次相続で財産を承継した配偶者に短期的にご相続が発生すると、一次相続で取得した財産額と配偶者がもともと保有していた固有の財産額を合計した金額について相続税が発生しますので、予期せぬ相続税のご負担が発生する可能性があります。
二次相続時には配偶者がいない分、一次相続より相続人が少なくなりますので、ここでは説明を省略しますが、基礎控除額が600万円減少しますし相続税率が高くなる場合もございます。
そのため、一次相続と二次相続を踏まえた分割をさせて頂き、最も税金が少なくなる分割案をご提示させて頂いております。
遺言書が2通出てきた場合には日付が前の遺言書は無効ですか?
遺言書は、一番日付が新しいものが有効です。前の遺言書と新しい遺言書に違う内容が書いてあれば、その部分は新しい遺言で前の遺言が撤回されたとみなされます。例えば、前の遺言書ではA不動産を長男に相続させるとしていたところ、後の遺言書ではA不動産を二男に相続させるとした場合、A不動産は二男が相続することになります。新しい遺言書に書いてない内容が前の遺言書に書いてある場合には、その部分は前の遺言書が有効となります。
法人を活用した方が税金が安くなると聞いたのですが、本当でしょうか。
法人を活用する場合には、慎重に判断する必要がございます。法人を活用するメリットがある場合と、デメリットの方が多いケースもありますのでご自身の状況と将来の動向なども踏まえることも重要です。ブログでもう少し詳しく記載しておりますので、そちらをご参照頂ければ幸いです。
生命保険金の非課税について教えて下さい。
相続人が死亡保険金を受け取った場合、法定相続人の数×500万円までは相続税がかかりません。しかし、相続人が相続を放棄した場合や相続権を失った者は相続人に該当しないため、非課税の適用はありません。これは、相続人ではない孫が死亡保険金を取得した場合も同様です。また、個人年金保険の受取が既に開始している場合にも非課税の適用はありませんのでご注意下さい。
相続放棄をしても、死亡保険金は受け取れますか?
死亡保険金は被相続人の財産ではなく、受取人固有の財産として取り扱われるため、相続放棄をしても死亡保険金を受取ることが出来ます。これは、限定承認をする場合も同様です。
生命保険金は遺留分侵害額請求の対象に含まれますか?
原則として特別受益に当たらず、遺留分侵害額請求の対象となりません。ただし、保険金受取人である相続人と共同相続人の間で、是認できないほどの不平等があれば、特別受益と同様の取扱いとなる可能性があります。具体的な基準は明記されていないため、現金預金を過度に保険金に組み替えるのは注意が必要です。
生命保険契約の契約者を変更した場合には贈与税はかかりますか?
生命保険契約に係る契約者及び保険金受取人の名義変更があったとしても。その名義変更をしたタイミングで贈与税は課税されません。
将来、保険契約を解約した場合や満期時に保険金を取得したときに、贈与税が課税されます。贈与税が課税されるのは、保険金受取人以外の人が負担した保険料の金額に対応する部分が贈与税課税されます。
保険金受取人が負担した保険料部分については、所得税が課税されます。
被相続人の債務を控除する要件は何ですか?
相続税法第13条1項により、被相続人の債務を財産から控除できる人は、相続人や包括受遺者(相続時精算課税の適用を受ける贈与により財産をもらった人を含みます。)に限られております。細かな要件は他にもありますが、相続放棄者や相続人ではない孫は債務控除の適用はありません。
財産から控除しきれない債務はどうなるのですか?
相続税額の計算では、相続人ごとに取得する財産額から債務を控除して、正味の課税される財産金額を計算します。そして、各相続人の課税される金額を合計した金額に基づいて、支払う相続税額を計算します。
【財産構成】
- 現金預金 10,000万円
- 不動産 5,000万円
- 借入金 7,000万円
<ケース1>
・Aさん 不動産・預金計10,000万円 - 借入金 7,000万円 = 3,000万円
(内訳は5,000万円ずつ)
・Bさん 預金 5,000万円
■課税される金額 = 3,000万円 + 5,000万円 = 8,000万円
この場合、AさんとBさんの取得する正味財産額である8,000万円が課税の対象となる金額となります。
次に<ケース2>の場合では、被相続人の財産構成は<ケース1>と同じですが、遺産分割の結果次第で、課税される金額が異なります。
<ケース2>
・Aさん 不動産 5,000万円 - 借入金 7,000万円 =0円(マイナスは切捨)
・Bさん 預金 10,000万円
■課税される金額 0円 + 10,000万円 = 10,000万円
このケースでは、Aさんが取得する財産額よりも引受ける債務の金額が多い場合、差額のマイナス部分については他の相続人の財産額から控除することができません。そのため、Aさんに生じたマイナス2,000万円は切捨てられることとなり、<ケース1>よりも多くの相続税を支払うことになります。そのため、被相続人に多額の債務がある場合には分割方法をよく検討する必要があります。
海外在住の相続人がいる場合の注意点はありますか?
相続人の中に海外のお住まいの方がいらっしゃる場合、遺言書の有無をまずご確認ください。被相続人の財産のうち、1億円以上の有価証券等を所有している場合には、有価証券等を相続開始時の価額で譲渡したものとみなして、所得税の準確定申告が必要となる可能性があります。これを「国外転出時課税」といいます。遺言書で、海外居住者が有価証券等を取得する旨の記載が無ければ、国外転出時課税の対象とはなりません。次に、遺産分割協議の場合には、実印での押印と印鑑証明書の添付が必要となります。海外在住の方は日本に住民票を残されておらず、印鑑証明書を取得することが出来ないことも多いです。代わりに在外公館(大使館や総領事館等)に赴き、「サイン証明」を発行してもらう必要があります。遺産分割協議書の海外への郵送時間や、在外公館に赴く時間、日本への返送とかなりの時間がかかってきますので、相続税の申告期限にゆとりをもったスケジュールが必要となります。